朝日新聞デジタル 6/7(金) 7:33配信
https://www.asahi.com/articles/ASM5Z357SM5ZUPQJ003.html?iref=pc_ss_date
抗うつ薬は、承認された用量の範囲内の少なめの量を飲むのが最も効果的とする研究結果を、日英などの国際チームがまとめた。結果をもとに研究者は、少ない量から始めて副作用に注意しながら増やすことを勧める学会の治療指針の見直しが必要と指摘する。
英医学誌ランセットの関連誌で6日、発表した。京都大の古川壽亮(としあき)教授(臨床疫学)や英オックスフォード大などのチームは、副作用が少ないとされる新世代の抗うつ薬に関する77の論文を検証。飲む量が増えるにつれ、薬の効果や服薬を中断する割合がどのように変わるのかを調べた。
いずれの薬も承認された用量内なら、低い用量でも高い効果を示した。それ以上量を増やしても効果はさほど変わらない一方、副作用などにより薬をやめる人は、増えていた。
日本うつ病学会の治療指針は、症状が重い場合には、薬を低用量から始め「有害作用に注意しながら可能な限り速やかに増量する」「十分な最終投与量を投与する」とある。米国精神医学会の治療指針も、副作用が許す限り、最大限の用量を使うとある。
古川さんは「抗うつ薬が効かないなら量を増やすべきだと考えられてきたが、逆効果だと示された。量を増やすより別の薬を試すべきで、治療指針の見直しが必要ではないか」と話している。
論文はサイト
(http://www.thelancet.com/journals/lanpsy/article/PIIS2215-0366(19)30217-2/fulltext)
から読める。(岡崎明子)
朝日新聞社