がん招く肥満、原因一部解明 北大の研究グループ 予備軍細胞の排除機能低下
4/25(水) 6:03配信 北海道新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180425-00010000-doshin-sctch
肥満になると、がんになりやすくなる―。統計学的に知られていた事実について、北大遺伝子病制御研究所の研究グループは24日、原因の一部を解明したと発表した。肥満状態のマウスに抗炎症剤のアスピリンを投与して脂肪細胞の炎症を抑えると、がん細胞の発生そのものが抑えられることも分かり、研究グループは「がんを発症する前の人に、予防的な治療を行える道が開けるかもしれない」と話す。
研究グループによると、肥満が膵臓(すいぞう)がんなどの発症確率を高めることは統計学的に示されていたが、原因は分かっていなかった。
研究グループはこれまでの研究で、がん細胞が発生するかなり前の段階で「がん予備軍の細胞」が周囲の正常な細胞層によって押し出され、体外に排除される仕組みを証明していた。
今回は「肥満になると、この仕組みが働きにくくなるのではないか」との仮説を立て、検証した。
実験では高脂肪の餌を与えてマウスを太らせ、「がん予備軍の細胞」をさまざまな部位に発生させた。すると、膵臓と小腸で「がん予備軍の細胞」を体外に押し出す仕組みが抑制され、体内に残った。特に膵臓では増殖し、1カ月後に小さな腫瘍の塊になった。
「がん予備軍の細胞」は、その細胞内のミトコンドリアの機能が低下し、体外に排除されやすくなる。しかし、脂肪が増えると、ミトコンドリアの機能が低下せず、体外に排除されにくくなることを確認した。
最終更新:4/25(水) 6:03 北海道新聞